銀行員の用語集

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アレンジメント業務とは

各案件において、ファイナンスのアレンジメント(組成)と融資検討を行う立場を有する金融機関をアレンジャーというが、アレンジャーとしての参加を明確にし、かつ守秘義務や必要な 弁護士費用等の借入人における支払義務等を定めることを目的とした契約のことをアレンジメント契約という。

(出典 日本政策投資銀行ホームページ)

 

典型的には、下記の業務から成る。
① 対象企業による資金ニーズの把握、並びに、これを踏まえた取引スキームの設計、
検討及び選択に関する支援・助言
② 対象企業(又は場合により対象事業・資産)に係る情報の調査及びリスク分析
③ (上記調査・分析作業の結果を踏まえた)関係当事者との借入等に係る条件交渉及
びかかる条件交渉の結果を踏まえた契約書作成についての支援・助言
④ 関係当事者(弁護士、会計士等を含む。)の選定に係る助言
⑤ 融資参加金融機関の招聘及び調整

(出典 平成 21 年 6 月 22 日金融法委員会  論点整理:シンジケートローン取引におけるアレンジメントフィー/エージェントフィーと利息制限法及び出資法)

 

即ち、一般に、金融機関等が行うアレンジメント業務の本質は、資金ニーズの存する調達企業又はプロジェクト(投資案件)の存在を前提に、金融市場・資本市場等から資金を調達し、様々な取引及び仕組みを介して(その具体的内容は個別案件により異なり得る。)、調達企業に対する又はプロジェクトに係る与信に結びつけることにあると理解される。
また、資産流動化案件、プロジェクトファイナンス案件、LBO ファイナンス案件等において顕著であるが、アレンジメント業務の重要な特色として、対象資産又はプロジェクト自体の信用力ないし収益力の分析が挙げられることもある。これらの案件においては、借入人の信用力を引当とした通常のファイナンス案件と異なり、貸付人その他投資家に対する弁済原資が対象資産若しくはプロジェクト又は買収対象会社のキャッシュフロー及びその換価価値に依存するケースが多く、かかるキャッシュフロー及び換価価値並びにこれらに伴うリスク要因の内容・特性等に関する分析及び検討は、かかる類型の取引において極めて重要な意義を有するものである。

(出典 平成 21 年 6 月 22 日金融法委員会  論点整理:シンジケートローン取引におけるアレンジメントフィー/エージェントフィーと利息制限法及び出資法)

 

金融機関等が行うアレンジメント業務は、金融機関等の付随業務の一類型として、金融行政上も広く認知されている。例えば、金融審議会(金融分科会第二部会)の平成15 年3月27 日付報告書「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」において、銀行は「コア業務として預貸取引のみにこだわらず、それらと関連してコンサルティング機能、ビジネス・マッチング機能等を兼ね備えたより統合的な金融サービス取引を行うことを通じて顧客に付加価値を提供し、手数料収入を得るビジネスモデル」を進めて行くべしと指摘されている。アレンジメント業務は、「コア業務としての預貸取引」ではなく、「それらと関連してコンサルティング機能、ビジネス・マッチング機能等を兼ね備えたより統合的な金融サービス取引」として捉えられるべきものであると考えられる。

また、かかる認識の下に、金融庁の「主要行等向けの総合的な監督指針」(V-3-2)及び「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」(III-4-2)において、以下の規定が設けられている。

「その他の付随業務」の取扱い
銀行が法第 10 条第2 項の業務(同項各号に掲げる業務を除く。以下「その他の付随業務」という。)を行う際には、以下の観点から十分な対応を検証し、態勢整備を図っているか。
(1) 銀行が、従来から固有業務と一体となって実施することを認められてきたコンサルティング業務、ビジネスマッチング業務、M&A に関する業務、事務受託業務については、取引先企業に対する経営相談・支援機能の強化の観点から、固有業務と切り離してこれらの業務を行う場合も「その他の付随業務」に該当する。(中略)

ここでいう「その他の付随業務」は、銀行法第 10 条第2 項柱書の「(次に掲げる業務)その他の銀行業に付随する業務」を受けたものと解されるが、アレンジメント業務は、同条第1 項各号に列挙された銀行の本来的業務はもちろん、同条第2 項各号に列挙された付随業務にも含まれず、むしろ、上記報告書と同様に、ここでいう「その他の付随業務」としての「コンサルティング業務、ビジネスマッチング業務、M&A に関する業務、事務受託業務」に属するものと整理されるべきものであると考えられる。このように、アレンジメント業務は、金融行政上も貸付をはじめとする銀行の本来的業務及び法律に列挙された典型的付随業務とは明らかに異なる業務類型の一つとして取り扱われており、かつ、そうした業務が「固有業務と切り離して」行われる場合(特に、アレンジャーを務めた金融機関が貸付を行わないような場合)があることが認められているものと考えることができるように思われる。

(出典 平成 21 年 6 月 22 日金融法委員会  論点整理:シンジケートローン取引におけるアレンジメントフィー/エージェントフィーと利息制限法及び出資法)