銀行員の用語集

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匿名組合とは

オリジネーター(原資産保有者)から譲渡された資産を裏付けとして証券化商品を発行する際、資産を保有する器として利用されるSPV の一つ。商法上の組合に該当し、契約の一方の当事者(匿名組合員)が、相手方(営業者)のために出資し、その営業から生じる利益を分配することを約束する契約(商法第535 条)により成立する。不動産証券化においては、不動産等を信託して得た信託受益権を投資家(投資組合員)の出資対象として、有限会社や株式会社等の特別目的会社(SPC・営業者)との間で締結される匿名組合契約が多く用いられる。

(出典 国交省 不動産証券化に係る用語集(50 音順))

 

商法第535条に定める組合。出資者(匿名組合員)と営業をする者(営業者)との共同企業形態で、外部に対しては、商人である営業者だけが権利義務の主体として現れ、匿名組合員は営業者の行為について第三者に対して権利義務を持たない。内部的には、匿名組合員は営業者のために出資をする義務を負い、営業から生ずる利益を分配する。不動産流動化案件の多くは、資金調達を行うSPCを匿名組合としたスキームである。

(出典 日本政策投資銀行ホームページ)

 

投資家は金銭の出資を営業者(不動産事業者)に行い、出資金返還請求権と利益配当請求権のみを持ち不動産の所有権は営業者に帰属している組合。営業者に運営を任せること、営業者が不動産の所有権をもつことから組合員の存在が匿名的になる。商法535条から542条に規定されまた不動産特定共同事業法の法的スキームの一つ。 組合に対する利益の配当は法人税の課税対象ではないことから、証券化ではよく利用される。不動産を対象にした証券化において投資家を匿名組合契約に基づく出資で集める場合は不動産特定共同事業法に基づき証券化するか、不動産に信託設定を行う必要がある。

(出典 大和不動産鑑定ホームページ)

 

匿名組合は、商法第535条から第542条に規定されている契約形態です。商法第535条によれば、当事者の一方(出資組合員)が相手方(営業者)のために出資をし、その営業により生ずる利益を配分すべきことを約する契約です。つまり、匿名組合員が営業者に出資をし、その経営の一切を営業者に委ね、組合員はその利益配分を受け取る契約のことです。

任意組合と匿名組合の大きな相違点は、出資した財産に対して持分を持てるか否かに現れます。
任意組合の場合、出資財産は任意組合の財産となり、任意組合員は出資された組合財産に対して共有持分を持ちます。ただし、法形式上は組合事業に供する目的で出資した以上、その目的の範囲内で制限を受けますので、共有持分を勝手に処分することはできません。また、共有物分割請求もできません。 これに対し匿名組合における出資とは、匿名組合員から営業者への財産権の譲渡になります。つまり、出資財産は営業者の単独の財産となり、匿名組合員はそれに対して持分を持たず、また処分権を有しません。
営業者は、その財産の処分などについて契約上の義務に拘束され、匿名組合員は営業者を監視できますが、匿名組合が終了した場合には、当該出資財産そのものを返還することは要求されていません。金銭に評価して返還すれば良いし、営業者が事業に失敗して出資財産を失えば金銭の返還さえ必要ありません。損失を出せば、出資価額から損失を控除して、残額があれば残額を返還することになります。
このように、任意組合と匿名組合とで出資の性格が異なるのは、対外的な事業の形態が異なることに対応します。任意組合はあくまで対外的にも共同事業であり、そのための経済的基盤として全組合員から出資がなされるのに対し、匿名組合は対外的には組合員と営業者の共同事業ではなく営業者の単独事業であり、それに出資した組合員が営業者に財産を提供するものです。
この違いにより、任意組合は組合債務について無限責任を負うなどの法律関係が生じ、匿名組合は営業者の事業に直接関与しない以上、出資者は利益の配当請求権のみを有し、その代わりに、事業からの責任は出資した財産以上に負わないということになります。

匿名組合においては、出資と借入が資金調達の主たる方法です。匿名組合による事業は営業者の単独事業の体裁で行われるため、法律的には出資財産の帰属に関する権利・義務関係は明確です。金銭にせよその他の財産にせよ、匿名組合員による営業者への出資財産は、法的には営業者の単独財産になります。匿名組合における出資は任意組合のそれと異なり、財産出資のみが許され、労務、信用などの出資は許されません。

匿名組合員はいったん財産を出資した以上、出資財産に対して財産上の持分を持たず、匿名組合の事業から利益が発生した場合に、その配分を受ける債権上の権利を有するに過ぎません。
また、匿名組合契約の終了時に出資額返還請求権を有しますが、これも単なる債権上の請求権で、たとえ匿名組合員が物を出資しても、金銭的に評価された出資額の返還を受けられるに過ぎません。利益配分請求権や出資額返還請求権は、営業成績により変動します。 匿名組合員は業務執行権を有しませんが、営業監視権を有します。合資会社の有限責任社員の業務監視権に関する規定が準用されています。この監視権を奪う特約は匿名組合性を否定します。
匿名組合員の義務は、出資義務と出資した財産の範囲内での損失負担義務です。追加出資については、契約で明記されていない限りそのような義務は負いません。匿名組合の事業がキャッシュフローの不足を生じさせた場合でも、組合員として受ける金銭の分配に影響を受けることはあっても、それ以上に組合員が匿名組合の債務に責任を有するわけではありません。
匿名組合員にも損失分担義務がありますが、それは出資した財産額の範囲内での内部的な責任であり、あくまで計算上の負担です。匿名組合員は対外的に第三者との関係で権利や義務を有しないことが法定されています。

上述のとおり、匿名組合では、事業は営業者の単独事業とみなされ出資された財産は営業者の単独財産になり、出資者は事業から得られる利益と、事業終了時に残った財産の分配を受ける権利のみを持つことになります。この結果、出資した財産に対しては持分、処分権を有しないため、事業者にとっては経営の主導権を握れます。
出資者側からみると、任意組合では組合員が出資額に関係なく原則として無限責任を負うのに対して、匿名組合では出資を限度として有限責任に限定されます。さらに匿名組合では出資者と事業者の個別契約であるため、匿名性が保てる点などが不動産証券化において頻繁に使用される理由であると思われます。

(出典 三井のリハウスホームページ)