銀行員の用語集

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貸出条件緩和債権とは

経済的困難に陥った債務者の再建又は支援を図り、当該債権の回収を促進すること等を目的に、債務者に有利な一定の譲歩を与える約定条件の改定等を行った貸出債権

(出典 金融庁 金融検査マニュアル 平成29年5月)

 

貸出条件緩和債権については、銀行法施行規則第19条の2第1項第五号ロ(4)において「債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として、金利の減免、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄その他の債務者に有利となる取決めを行った貸出金」と規定されている。
なお、債務者の経営再建又は支援を図る目的の有無については、単に融資形態のみをもって判断するのではなく、債務者の状況や資金の性格等を総合的に勘案して判断する必要がある。
例えば、書換えが継続している手形貸付であっても、いわゆる正常運転資金については、そもそも債務者の支援を目的とした期限の延長ではないことから、貸出条件緩和債権には該当しないことに留意する。
また、債務者に有利となる取決めか否かについては、「基準金利」(当該債務者と同等な信用リスクを有している債務者に対して通常適用される新規貸出実行金利をいう。以下同じ。)という着眼点で判断する必要があり、その際、以下の点に留意する。
(1)貸出条件緩和債権の検証
貸出条件緩和債権の検証に当たって、「基準金利」を検証する際には、中小・零細企業の特性を踏まえて、次のような点に留意し、検討する必要がある。
(注)担保(優良担保、一般担保を問わない)や信用保証協会保証などの保証(優良保証、一般保証を問わない)等により貸出金が保全されている場合には、当該保全状況を踏まえ信用リスクを勘案する。(なお、100%保全されており、信用リスクは極めて低いと考えられる場合には、調達コスト(資金調達コスト+経費コスト)を下回る場合を除き、原則として、貸出条件緩和債権に該当しないものと判断して差し支えないものと考えられる。)
イ.代表者等が当該企業の保証人となっておらず、かつ個人資産を担保提供していない場合であっても、代表者等の当該企業に対する支援の意思が確認されている場合(前記1.(2)参照)には、当該代表者等の
資産について返済能力に加味することができることを踏まえ信用リスクを勘案する。
ロ.条件変更を実施している債権であっても、当該企業が保有する資産の売却等の見通しが確実であり、それにより返済財源が確保されている場合等には、信用リスクそのものが軽減されていることを勘案する。
(2)貸出条件緩和債権の卒業基準
貸出条件緩和債権のいわゆる卒業基準については、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針(Ⅲ-4-9-4-3(2),③,ハ)(注)において記載されているところであるが、この場合においても中小・零細企業
等の特性を踏まえて、上記(1)イ.及びロ.に加え、次のような点に留意し、検討する必要がある。
イ.債務者が経営改善計画等を策定していない場合であっても、例えば、今後の資産売却予定、役員報酬や諸経費の削減予定、新商品等の開発計画等収支計画表等のほか、債務者の実態に即して金融機関が作成・分析した資料を踏まえ信用リスクを勘案する。
ロ.株式会社整理回収機構が策定支援した再生計画についても、中小企業再生支援協議会が策定支援した再生計画と、原則として同様に扱う。また、金融機関が債務者に対して貸付条件の変更等(注1)を行う場合であって、当該債務者が経営改善計画等を策定しているときの他の金融機関(政府系金融機関等(注2)を含む。)が行う貸付条件の変更等に伴って当該債務者が経営改善計画等を策定しているとき及び信用保証協会による既存の保証の条件変更に伴って当該債務者が経営改善計画等を策定してい
るときを含む。)は、当該計画等が中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針Ⅲ-4-9-4-3(2)③ハ.(注1)及び(注2)の要件を満たしていると認められるものであれば、金融機関が当該債務者に対して行う貸付条件の変更等に係る貸出金は貸出条件緩和債権には該当しないものと判断して差し支えない。

(注1)「貸付条件の変更等」とは、貸付条件の変更、旧債の借換え、DES(デット・エクイティ・スワップ)その他の債務の弁済に係る負担の軽減に資する措置をいう。
(注2) 株式会社日本政策金融公庫、株式会社商工組合中央金庫、株式会社日本政策投資銀行、株式会社国際協力銀行、沖縄振興開発金融公庫、独立行政法人奄美群島振興開発基金、独立行政法人中小企業基盤整備機構、独立行政法人福祉医療機構、独立行政法人住宅金融支援機構をいう。
ハ.その進捗状況が概ね1年以上順調に進捗している場合には、その計画は実現可能性の高い計画であると判断して差し支えない。
ニ.中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針(Ⅲ-4-9-4-3(2)、③、ハ)において、債務者が実現可能性の高い抜本的な経営再建計画を策定していない場合であっても、債務者が中小企業であって、かつ、貸出条件の変更を行った日から最長1年以内に当該経営再建計画を策定する見込みがあるときには、当該債務者に対する貸出金は当該貸出条件の変更を行った日から最長1年間は貸出条件緩和債権には該当しないものと判断して差し支えないとされていることに留意する。
なお、「当該経営再建計画を策定する見込みがあるとき」とは、銀行と債務者との間で合意には至っていないが、債務者の経営再建のための資源等(例えば、売却可能な資産、削減可能な経費、新商品の開発計画、販路拡大の見込み)が存在することを確認でき、かつ、債務者に経営再建計画を策定する意思がある場合をいう。
ホ.中小・零細企業等の場合、大企業と比較して経営改善に時間がかかることが多いことから、資産査定管理態勢の確認検査用チェックリスト「自己査定」(別表1)1.(3)③の経営改善計画等に関する規定を満たす計画(債務者が経営改善計画を策定していない場合には、債務者の実態に即して金融機関が作成した資料を含む。以下「合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画」という。)が策定されている場合には、当該計画を実現可能性の高い抜本的な計画とみなして差し支えない。また、今後の資産売却予定や諸経費の削減予定等がなくても、債務者の技術力、販売力や成長
性等を総合的に勘案し、債務者の実態に即して金融機関が作成した経営改善に関する資料がある場合には、貸出条件緩和債権に該当しないことに留意する必要がある。
ただし、経営改善計画の進捗状況が計画を大幅に下回っている場合には、合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画とは取り扱わない。また、経営改善計画の検証にあたっては、上記3.経営改善計画を踏まえて検討する必要がある。
(注)貸出条件緩和債権については主要行等向けの総合的な監督指針(Ⅲ-3-2-4-3(2),③)にも記載有り。保険会社の貸付条件緩和債権については保険会社向けの総合的な監督指針(Ⅲ-2-16-3(2),③)に記載有り。

(出典 金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕平成27 年1 月)